繰上げ返済とNISA、どっちに回す? 金利と手元資金で考える
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※この記事は、特定の金融商品をすすめるものではありません。投資にはリスクがあり、元本は保証されません。繰上げ返済の条件は、金融機関や商品によって違います。この記事の内容は2026年10月時点のものです。
住宅ローンを返しながら貯金が少しずつ増えてくると、「このお金は繰上げ返済に回すか、NISAで運用するか」で迷うことがあります。どちらも「お金を増やす(減らさない)」方法に見えるので、比べ方が分かりにくいところです。
この記事では、繰上げ返済とNISAそれぞれのしくみ、例の数字での比べ方、数字だけでは決まらない点を、順番に整理します。
繰上げ返済とNISA、それぞれのしくみ
繰上げ返済
繰上げ返済は、毎月の返済とは別に、ローンの元金の一部をまとめて返すことです。元金が減ると、その後にかかるはずだった利息が減ります。
- 良い点:減る利息は、ローンの金利で決まるので、結果が読みやすい(固定金利なら、借りたときに決まります)
- 手間・気をつけたい点:返したお金は、あとから戻ってこない。手数料がかかる金融機関もある
NISA
NISAは、投資で得た利益に税金がかからない制度です。ふつうは、株や投資信託の値上がり益や配当に約20%(20.315%)の税金がかかりますが、NISAの口座で買った分は非課税になります(株の配当は、受け取り方によっては課税されます)。
2024年からの今のNISAでは、「つみたて投資枠」が年120万円、「成長投資枠」が年240万円まで使えます。生涯で非課税で持てるのは1,800万円まで(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、非課税で持てる期間に期限はありません。
使えるのは、日本に住んでいる18歳以上の人です(その年の1月1日時点の年齢)。2027年1月からは、18歳未満の人も、つみたて投資枠を使えるようになります(年60万円まで。払い出しには条件があります)。
- 良い点:運用がうまくいけば、利益に税金がかからない。必要なときは売って現金にできる
- 手間・気をつけたい点:元本は保証されず、値下がりすることがある。売りたいときに値下がりしていると、損をして売ることになる
100万円をどちらに回すか、例の数字で比べる
繰上げ返済の記事と同じ条件で比べてみます。3,000万円を35年・年1.5%(全期間同じ金利、元利均等返済・ボーナス返済なし)で借りて、10年後に手元の100万円をどちらかに回す場合です(説明のための例の数字です)。
繰上げ返済に回した場合
10年後のローンの残りは約2,297万円です。ここで100万円を期間短縮型で繰上げ返済すると、返し終わるのが1年3か月早まり、減る利息は約44万円です。返済額軽減型なら、毎月の返済が約4,000円下がり、減る利息は約20万円です。
NISAで運用した場合
同じ100万円をNISAで運用し、残りの25年間、売らずに持ち続けたとします。年1.5%で増えた場合の利益は約45万円、年3%なら約109万円です(毎年同じ利回りで増え続けると仮定し、手数料は考えていません)。
年1.5%で増えた場合の利益は、期間短縮型で減る利息とおおむね同じになります。 一方で、運用の結果は毎年同じではなく、元本を下回ることもあります。
分かれ目は「ローンの金利」と「運用の利回り」
繰上げ返済は、「ローンの金利と同じ利回りで、確実に運用する」のに近いと考えられます。この例なら、年1.5%です。
そのため、運用の利回りがローンの金利を上回れば、数字の上ではNISAのほうが有利に、下回れば繰上げ返済のほうが有利になります。ただし、繰上げ返済で減る利息はローンの金利で決まる(固定金利なら、借りたときに決まる)のに対して、運用の利回りは前もって分かりません。
比べるときは、「ローンの金利」と「確実ではない運用の利回り」を比べている、という点を押さえておきます。 金利が低いローンほど、繰上げ返済で減る利息は小さくなります。変動金利で借りていて、これから金利が上がった場合は、繰上げ返済で減る利息は大きくなります。
繰上げ返済でどれくらい利息が減るかは、自分のローンの数字で確かめられます。このサイトの「繰上げ返済シミュレーター」では、今のローン残高・金利・残りの返済年数・繰上げ返済する額を入れると、2つの型それぞれで減る利息を比べられます。
数字だけでは決まらないこと
手元に残すお金
繰上げ返済に回したお金は、あとから取り出せません。NISAで運用しているお金は売れば現金にできますが、急にお金が必要になったときに値下がりしていると、損をして売ることになります。
どちらに回す場合も、病気や急な出費、教育費などに備えるお金は、預金で先に取っておくと安心です。
住宅ローン控除を受けている間
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高をもとに控除額を計算します。例えば2022年以降に住み始めた場合は、年末の残高の0.7%が控除の対象になります(上限や、納める税金の額などによって変わります)。
控除を受けている間に繰上げ返済で残高を減らすと、控除額も減ることがあります。また、繰上げ返済で、最初に返済した月から最後の返済月までの期間が10年未満になると、その年から控除を受けられなくなります。
控除を受けている間は、繰上げ返済で減る利息から、減るかもしれない控除額を差し引いて考えると、実際の効果に近くなります。控除の額の考え方は、別の記事で整理しています。
気持ちの面
ローンが早く減ることに安心を感じる人もいれば、手元にお金があることに安心を感じる人もいます。数字が近いときは、どちらのほうが落ち着いて暮らせるかで決めるのも、ひとつの考え方です。
迷ったときの考え方の順番
どちらか一方に決める必要はなく、分けて回す方法もあります。次の順番で考えてみてください。
1. 生活費の数か月分や、近いうちに使う予定のお金を、預金で取っておく
2. 住宅ローン控除を受けているか、ローンの金利がいくらかを確かめる
3. 残ったお金を、繰上げ返済とNISAのどちらに、どれくらい回すかを決める
例えば、控除を受けている間はNISAを中心にして、控除の期間が終わってから繰上げ返済を考える、という順番もあります。ローンの金利が上がってきたら、繰上げ返済に回す割合を増やす、という考え方もあります。
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おわりに
繰上げ返済は、ローンの金利の分だけ利息を減らす方法(固定金利なら、減る額が借りたときに決まります)で、NISAは、利益に税金がかからない代わりに結果が前もって分からない方法です。数字で比べるときは、ローンの金利と運用の利回りを比べ、確実さの違いも合わせて考えます。
どちらに回す場合も、手元に残すお金を先に決めておくことと、住宅ローン控除を受けている間は控除額への影響を確かめておくことが大切です。
まずは、自分のローンで繰上げ返済をするとどれくらい利息が減るかを確かめて、比べる目安にしてみてください。