住宅ローンの繰上げ返済、した方がいい? 2つの型の違いと、する前に考えたいこと

公開日:

淡いグリーンの紙の上で、「LOAN」と書かれた長い紙の帯をハサミで短く切ったところと、積まれた硬貨

※繰上げ返済の条件や手数料は、金融機関や商品によって違います。実際の条件は、借りている金融機関で確認してください。この記事の内容は2026年10月時点のものです。

住宅ローンを返し始めて少したつと、「まとまったお金ができたら、繰上げ返済した方がいいのかな」と考えることがあります。ただ、繰上げ返済にはいくつかの型があり、手元のお金とのバランスも気になるところです。

この記事では、繰上げ返済のしくみと2つの型の違い、そして繰上げ返済をする前に考えたいことを、順番に整理します。

繰上げ返済とは

繰上げ返済は、毎月の返済とは別に、ローンの元金の一部(または全部)をまとめて返すことです。

毎月の返済には、元金と利息が含まれています。繰上げ返済で返したお金は、すべて元金の返済にあてられます(金融機関によっては、前回の返済日からの利息や手数料を別に払います)。元金が減ると、その後にかかる利息も減ります。

繰上げ返済で減らせるのは、これから払う予定だった利息です。 返すのが早いほど、残りの返済期間が長いので、利息を減らす効果は大きくなります。

「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い

繰上げ返済には、大きく分けて2つの型があります。どちらを選べるかは、金融機関によって違います。

期間短縮型

毎月の返済額はそのままで、返し終わるまでの期間を短くする型です。

  • 良い点:利息を減らす効果が大きい。返し終わる時期が早まる
  • 気をつけたい点:毎月の返済額は変わらないので、毎月の家計は楽にならない

返済額軽減型

返し終わるまでの期間はそのままで、毎月の返済額を下げる型です。

  • 良い点:毎月の返済が軽くなり、家計に余裕ができる
  • 気をつけたい点:期間短縮型と比べると、利息を減らす効果は小さい

例の数字で比べる

例えば、3,000万円を35年・年1.5%(全期間同じ金利、元利均等返済・ボーナス返済なし)で借りて、10年後に100万円を繰上げ返済した場合を比べてみます(説明のための例の数字です)。

借りたときの毎月の返済は約9.2万円で、10年後のローンの残りは約2,297万円です。

期間短縮型返済額軽減型
毎月の返済約9.2万円のまま約8.8万円(約4,000円下がる)
返し終わるまで1年3か月早まる変わらない
減る利息約44万円約20万円

同じ100万円でも、期間短縮型のほうが、減る利息は2倍以上になります。 一方で、返済額軽減型は、残りの25年間、毎月の返済が約4,000円軽くなります。

どちらが合うかは、「利息を減らしたいのか」「毎月の家計を楽にしたいのか」で変わります。子どもの進学などで、これから出費が増えそうな時期なら、返済額軽減型で毎月の負担を下げておく考え方もあります。

このサイトの「繰上げ返済シミュレーター」では、今のローン残高・金利・残りの返済年数・繰上げ返済する額を入れると、2つの型それぞれで減る利息や、短くなる期間、下がる毎月の返済額を比べられます。

👉 繰上げ返済シミュレーター

繰上げ返済の前に考えたいこと

手元に残すお金

繰上げ返済で返したお金は、あとから戻ってきません。手元のお金を使いすぎると、病気や急な出費、子どもの教育費などに備えられなくなります。

繰上げ返済に回すのは、生活費の数か月分や、近いうちに使う予定のお金を残したうえで、余裕がある分にしておくと安心です。

手数料

繰上げ返済には、手数料がかかる場合があります。金額は、金融機関や、窓口かインターネットかなどの手続きの方法によって違います。

例えば【フラット35】では、一部繰上げ返済の手数料はかかりません。インターネットの「住・My Note」で手続きする場合は10万円以上、金融機関の窓口では100万円以上から繰上げ返済ができます(保証型を返済中の場合は、住・My Noteは使えません)。

住宅ローン控除との関係

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている場合は、2つの点に気をつけます。

1つめは、控除額が、年末のローン残高をもとに計算されることです。繰上げ返済で残高が減ると、控除額も減ることがあります。

2つめは、返済期間の条件です。住宅ローン控除を受けるには、返済期間が10年以上のローンであることが必要です。繰上げ返済で、最初に返済した月から最後の返済月までの期間が10年未満になると、その年から控除を受けられなくなります。

控除を受けている間に繰上げ返済をするときは、こうした点を確かめてから決めると安心です。

変動金利で借りている場合

変動金利で借りている場合、金利が上がると、その後の利息が増えることがあります。繰上げ返済で元金を減らしておくと、金利が上がったときの影響も小さくなります。

ただし、繰上げ返済に回したお金は手元に残りません。金利の変化への備えとして、手元にお金を残しておく考え方もあります。金利が上がったときの返済の変わり方は、別の記事で整理しています。

👉 金利が上がったら、住宅ローンの返済はいくら変わる?

おわりに

繰上げ返済は、これから払う予定だった利息を減らせる方法です。期間短縮型は利息を減らす効果が大きく、返済額軽減型は毎月の家計を楽にできます。

一方で、返したお金は戻ってこないので、手元に残すお金とのバランスが大切です。住宅ローン控除を受けている場合は、控除額や返済期間の条件も確かめておきましょう。

まずは、借りている金融機関の繰上げ返済の手数料と、選べる型を確かめるところから始めてみてください。

👉 住宅ローンはいくらまで借りていい?