「家賃は捨て金」は本当? 持ち家と賃貸、どちらが得かを決める4つの条件

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淡い黄色の紙の上に、水平につり合った真ちゅうの天秤。左の皿に白い家の置物と「OWN」のカード、右の皿に積んだ硬貨と「RENT」のカード

※この記事の金額は説明のための例です。実際の損得は、物件や地域、金利、住む年数などによって大きく変わります。この記事の内容は2026年10月時点のものです。

家を買うか、賃貸に住み続けるかを考えると、「家賃は捨て金」「家を買えば資産が残る」という言葉をよく耳にします。一方で、「持ち家は損」という意見も見かけて、どちらを信じればいいのか迷うところです。

この記事では、持ち家と賃貸の損得を分ける条件を、例の数字も使いながら順番に整理します。

「家賃は捨て金」「家は資産」は、どちらも半分だけ正しい

家賃は、住まいを借りる代わりに払うお金です。払ったお金は戻りませんが、その分、住む場所を得ています。

一方で、持ち家にも、払ったら戻らないお金があります。ローンの利息、固定資産税、管理費や修繕のためのお金、買うときの諸費用などです。

持ち家賃貸
毎月・毎年のお金ローン返済(うち利息は戻らない)、管理費・修繕積立金、固定資産税など家賃、更新料(地域や物件による)
最初にかかるお金諸費用(税金・手数料など)敷金・礼金・仲介手数料など
手元に残るもの家(ただし価値は下がることも上がることもある)なし(敷金は、未払いの家賃や修繕費を差し引いた残りが戻る)

持ち家と賃貸の違いは、「捨て金があるかないか」ではなく、「戻らないお金の合計」と「最後に家がいくらで残るか」の違いです。 どちらが得かは、次の4つの条件で変わります。

損得を分ける4つの条件

家の値段と家賃のバランス

同じくらいの広さや場所の家を、買う場合の価格と、借りる場合の家賃を比べます。家賃に比べて家の値段が高い地域では賃貸が有利になりやすく、家の値段に比べて家賃が高めの地域では持ち家が有利になりやすくなります。

ローンの金利

ローンを組んで買う場合、金利が高いほど、払う利息が増えます。同じ家でも、金利によって「戻らないお金」は大きく変わります。変動金利で借りる場合は、あとから金利が上がる可能性も考えておく必要があります。

住む年数

家を買うときには、物件価格のほかに諸費用がかかります。住む年数が短いと、この諸費用を年数で割った負担が重くなります。売るときにも仲介手数料などがかかるので、数年で住み替えるなら、賃貸のほうが身軽です。

逆に、長く住むほど諸費用の負担は薄まり、ローンを返し終えたあとは、家賃にあたるお金がかからなくなります。ただし、固定資産税や管理費、修繕のためのお金は、ローンを返し終えたあとも続きます。

売るときの価格

持ち家は、最後に家がいくらで売れるか(いくらの価値が残るか)で、損得が大きく変わります。家の価値は、立地や築年数、建物の状態によって違います。

人口が減っている地域などでは、売りたくても買い手が見つかりにくいこともあります。「家を買えば資産が残る」は、売れる家、価値が残る家であることが前提です。

例の数字で比べてみる

同じくらいの広さのマンションを、買う場合と借りる場合で、30年間の合計を比べてみます(説明のための例の数字です)。

前提は次のとおりです。

  • 持ち家:4,000万円のマンションを全額ローンで購入(35年・金利年1.5%・元利均等。変動金利で借りて、35年間変わらないと仮定)。諸費用280万円、管理費・修繕積立金 月2.5万円、固定資産税 年12万円
  • 賃貸:家賃15万円。2年ごとに更新料(家賃1か月分)、入居時の費用60万円
30年間の合計持ち家賃貸
ローン返済約4,409万円―
管理費・修繕積立金900万円―
固定資産税360万円―
諸費用・入居時の費用280万円60万円
家賃・更新料―5,610万円
合計約5,949万円5,670万円

払ったお金の合計だけを見ると、この例では賃貸のほうが少なくなります。ただし、持ち家には30年後も家が残ります。30年後のローンの残りは約708万円です。

  • 家が2,000万円で売れる場合:手元に約1,292万円が残り、実質の負担は約4,657万円。賃貸より約1,000万円少ない
  • 家が1,000万円で売れる場合:手元に約292万円が残り、実質の負担は約5,657万円。賃貸とほぼ同じ

さらに、家賃が12万円なら、賃貸の合計は4,548万円になり、家が2,000万円で売れても賃貸のほうが少なくなります。

金利でも結果は変わります。金利が年3.8%なら、家が2,000万円で売れても、持ち家の実質の負担は約6,714万円で、賃貸より約1,000万円多くなります。

このように、家賃の額や、最後に家がいくらで残るかが少し変わるだけで、どちらが得かは逆転します。 なお、この例には、部屋の中の修繕費、保険料、家賃や金利の変化、管理費・修繕積立金の値上がり、住宅ローン控除、売るときの費用などは入れていません。

お金以外の違い

持ち家と賃貸には、お金だけでは比べられない違いもあります。

持ち家

  • 良い点:間取りや内装を、自分の好みに合わせて変えやすい(マンションは管理規約の範囲で)。ローンを返し終えたあとの住まいの見通しが立てやすい
  • 手間:簡単には住み替えにくい。修繕や管理を自分で考える必要がある

賃貸

  • 良い点:家族の人数や仕事に合わせて、住み替えやすい。設備の故障などは、原則として大家さんが直す
  • 手間:内装を自由に変えにくい。年を取ってから部屋を借りにくいことがある

年を取ってからの賃貸については、2025年10月に改正住宅セーフティネット法が施行され、高齢者などが賃貸住宅に入居しやすくするための仕組みが整えられました。ただ、実際に借りやすくなるかは、地域や物件によっても違います。

あなたや家族の価値観

そして、数字では測れないものもあります。子どもが育った家で暮らし続けたい、庭のある家に住みたい、身軽にいろいろな街に住んでみたい。そうした気持ちや、家族の思い出も、住まいを選ぶ大切な理由です。

損得の計算は、判断の材料の1つです。数字で分かることを確かめたうえで、最後は、自分や家族にとって大切なことで決めてよいと思います。

自分の数字で確かめる

例の数字では、条件が少し変わるだけで結論が変わりました。だからこそ、自分の家賃や、考えている家の価格で確かめてみることが大切です。

今は賃貸に住んでいて、家を買うか迷っている場合は、賃貸から購入シミュレーターで、今の家賃や年収から、無理なく買える価格の目安を確かめられます。

👉 賃貸から購入シミュレーター

すでに持ち家に住んでいる場合は、住み続ける?売って賃貸?比較で、住み続けた場合と、売って賃貸に移った場合の住居費の合計を比べられます。

👉 住み続ける?売って賃貸?比較

おわりに

「家賃は捨て金」も「家は資産」も、それだけでは正しいとも間違いとも言えません。持ち家と賃貸の損得は、家の値段と家賃のバランス、金利、住む年数、売るときの価格の4つで変わります。

そして、住まいは、お金だけで選ぶものでもありません。数字で比べられることは比べたうえで、自分や家族の暮らし方に合うほうを選んでみてください。

👉 持ち家にかかる「毎年のお金」はいくら?