住宅ローンはいくらまで借りていい? 「年収の何倍」より「毎月いくら」で考える
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※住宅ローンの条件や審査の基準は、金融機関によって違います。実際の条件は、各金融機関で確認してください。この記事の内容は2026年10月時点のものです。
家を買おうと考えたとき、多くの人が気になるのが「いくらまで借りていいのか」です。ただ、金融機関で「借りられる」と言われた額が、そのまま「無理なく返せる額」とは限りません。
この記事では、借入額の目安を「年収の何倍」ではなく「毎月いくら返せるか」から考える方法を、順番に整理します。
「借りられる額」と「返せる額」は別もの
住宅ローンの審査で金融機関が見ているのは、主に年収や、年収に対する返済額の割合、勤続年数です。ほかにも、借りるときと返し終えるときの年齢、健康状態(団体信用生命保険に入れるか)、買う家の担保としての評価なども見られます。
年収に占める、1年間の返済額の割合を「総返済負担率」といいます。例えば【フラット35】では、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下が借りられる基準です。この返済額には、住宅ローンだけでなく、自動車ローンやカードローンなど、ほかの借入の返済も含まれます。
一方で、審査では一般的に、子どもの教育費や老後の資金、毎月の生活にいくら使いたいかまでは見ていません。
審査に通る額は「貸しても返してもらえそうな額」であって、「その家計が無理なく返せる額」とは限りません。 借りる額は、自分たちで決める必要があります。
「年収の何倍」の目安で見落としがちなこと
借入額の目安として、「年収の何倍」という言い方がよく使われます。分かりやすい一方で、見落としやすい点があります。
金利と返済期間で、毎月の返済が変わる
同じ金額を借りても、金利や返済期間によって毎月の返済額は変わります。「年収の何倍」は借りる総額の話なので、毎月いくら払うことになるかは、それだけでは分かりません。
税込の年収と、使える手取りは違う
「年収」は、ふつう税込の額で話されます。実際に使えるのは、税金や社会保険料を引いた手取りです。税込年収の割合では余裕があるように見えても、手取りに対する割合で見ると、負担が重く感じることがあります。
家庭ごとの支出は入っていない
子どもの人数や進学の予定、車を持つかどうか、ほかの借入があるかなど、家庭によって毎月の支出は大きく違います。「年収の何倍」には、こうした違いが入っていません。
毎月の返済額から逆算する考え方
そこでおすすめしたいのが、「毎月いくらなら無理なく返せるか」を先に決めて、そこから借入額を逆算する考え方です。
手順は次の3つです。
- 今の家計から、住居費に回せる毎月の額を決める
- そこから、管理費や固定資産税など、返済以外の住居費を引く
- 残った額を毎月の返済額として、金利と返済期間から借入額を計算する
例えば、毎月の返済を10万円、返済期間を35年、金利を年1.5%(全期間同じ)とすると、借りられる額はおよそ3,266万円です。同じ条件で金利が年1.0%ならおよそ3,543万円、年2.0%ならおよそ3,019万円になります(説明のための例の数字で、元利均等返済・ボーナス返済なしで計算しています)。
同じ毎月10万円でも、金利によって借りられる額は数百万円変わります。 変動金利で借りる場合は、金利が上がったときに返済が増えることも考えておく必要があります。
ちなみに、【フラット35】の利用者調査(2025年度)では、利用者の平均の総返済負担率(1か月の予定返済額を世帯の月収で割った割合)は22.8%でした。審査の基準とは計算のしかたが少し違いますが、実際に借りた人の多くが、基準の上限よりかなり低い水準で借りていることが分かります。
「年収の20%」を目安にする考え方
このサイトの「賃貸から購入シミュレーター」では、1年間の返済額が税込年収の20%に収まる価格を「安心ライン」としています。返済を税込年収の20%に抑えておくと、管理費や固定資産税などを足しても、手取りに占める住居費の割合が大きくなりすぎにくいからです。
例えば、世帯年収が600万円なら、20%は年120万円、毎月にすると10万円です(説明のための例の数字です)。
ただし、20%はあくまで目安です。シミュレーターでは、次のような家庭なら25%まで検討してもよいとしています。
- 共働きで、どちらかの収入だけでも返済を続けられる
- 子どもの人数や進学の予定がある程度見えていて、教育費を見込めている
- 車のローンなど、ほかの返済がない
- 手元に生活費の6か月分以上を残したうえで購入できる
家賃と比べるときは、返済以外の費用も足す
「今の家賃と同じくらいの返済なら買える」と考えることもあるかもしれません。ただ、家を買うと、ローンの返済のほかにも毎月・毎年かかるお金があります。
- 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
- 固定資産税・都市計画税(都市計画税は市街化区域内の場合)
- 火災保険・地震保険
- 将来の修繕費(戸建ての場合は自分で積み立てる)
家賃と比べるときは、ローンの返済だけでなく、これらを足した「住居費」で比べるのが大切です。 返済額が家賃と同じでも、ほかの費用を足すと、毎月の負担は今より増えることがあります。
また、購入するときには、登記費用や住宅ローンの手数料などの諸費用もかかります。貯金をすべて頭金と諸費用に使ってしまうと、病気や急な出費に備えられなくなるので、手元に残すお金も先に決めておくと安心です。
このサイトの「賃貸から購入シミュレーター」では、世帯年収・今の家賃・今の貯金を入れると、「無理なく返せる額」から、買える価格の目安が出ます。管理費や固定資産税、保険も含めた毎月の住居費で確かめられます。
今の家を売って買い替える場合は、住み替えシミュレーターで、住み替えたあとの毎月の住居費を確かめられます。
おわりに
住宅ローンは、「借りられる額」と「無理なく返せる額」が違います。
借入額は、「年収の何倍」から考えるより、「毎月いくらなら返せるか」を先に決めて逆算すると、家計に合った額が見えやすくなります。その際は、ローンの返済だけでなく、管理費や税金、保険も含めた住居費で考えるのがポイントです。
まずは、今の家計で住居費に毎月いくら回せるかを、ざっくり書き出してみてください。借りる額を考える出発点になります。